2017年9月3日日曜日

成熟期

はえぎわに白髪。ごっそり生えてきて、うれしい。もっと増えないかなぁ、と髪をかきあげる。お、意外とある。でも、まだまだ。もっと、ほしい。理想は、メッシュ入れたみたいに、はえぎわから白い束がごそっと生えているさま。

以前は年齢を言うと、若く見えると驚かれることが多かった。でも最近は白髪のせいか、全身から醸し出しているアトモスフェール(……「亀の甲より年の功」)からか、ふつうに受け入れられる。ようやっと、年相応になってきたのだろうか。見た目と年齢が合致した安心感。だからこそ、30代には気恥ずかしかった派手な服とか、柄に柄とか、逆にTシャツにジーパンとか気負いなく着れる。自分の弱みを笑いながらどんどん出していける。そういう点においては、非常にラクである。先日、そのことをアルゼンチン人の友人(同世代の女性)にメールで告げてみたところ、「No!!! you're young!!! beautiful girl!!!」という、なんだか必死な文面の返事がきた。いや、girlはねえよ、もう。まっとうに成熟させてくれい。

お昼前、少し離れた大きな公園まで息子と出かけて行った。アスレチックでひととおり遊んで、別の遊具まで移動しようとしたら、見知らぬ子ども(6、7才くらいだろうか)が、私のそばに駆け寄ってきて、「カラス!ほら、すぐそこだよ!あぶないよ!」と言う。見ると、でっかいカラスが食パンをこれでもかというくらいに咥えている。「その自転車からパンを取ったんだよ!」緊迫している。演技がかっている。カラスが自転車のカゴからパンを取り出し、咥え、フェンスの上に移動するまである程度の時間を経ただろうに、なぜこのタイミングで私に告げたのか。当のカラスは、我々の視線を鬱陶しそうに、低空飛行で飛んで行った。息子は「カラスー」と言いながら、走り追った。見知らぬ子どもは「あの木!きっと巣があるんだよ」と、目を潤ませ私をじっと見る。混血だろうか。きれいな顔をしている。白いTシャツが汗で透けている。息子の後を追いたい私の前を塞いで、制止しようとする。私は、大仰に「カラスに近づくと危ない!ご存知ですか?頭をガシッと掴まれる危険性がありますよ!」と、手振りを大きくしながら敬語で言ってみた。子どもは何か口にしたが、聞こえないふりをして、私は息子の元へ走った。

夕方には、息子と近所の小さい公園まで出かけて行った。数日前の浮かれた暑さはすでになく、秋の乾いた風が桜の葉を、少女らの絡まった髪を、無人のブランコを揺らしていた。ひたすら走り回る息子を追うのを諦め、乾いた木のベンチに座った。清潔な、いい夕方であった。しばらくすると、少し離れたところに座っていたじいさんが徐ろに近づいてきて「子どもは元気でいいねえ」と言う。相槌程度に話していたのだが、声の掛け方といい、話の運び方といい、まるで飲み屋のナンパみたいだった。髪色と似た、上下ねずみ色のジャージを着て、「毎日4時に散歩に出る、毎日ここへ来ている」と、穏やかに話した。息子が私を呼んだタイミングで、私はその場を離れた。サッカーボールとフリスビーが容赦なく飛び交う公園。じいさんは両手で持った杖で体を支えながら、私と息子が遊んでいる様を長いこと、にこやかに見つめていた。

ー秋ですね。



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