2016年4月26日火曜日

男友達

夫と結婚してからというもの、男友達と会うことがなくなった。夫に禁止されているとか、そういうことはない。どこかでバッタリ会っておしゃべり、ということはあったとしても、飲みに行くとか観劇するとかお茶するとか、そういう付き合いはなくなった。
中高女子校、36年間彼氏なし。ここからもお察しいただけると思うのだが、私は男友達が少ない。「男友達」と呼んでいいのは3、4人くらいだと思う。あとは「友達と言っていいか分からないが親しくしている男性の知人」、「友達とは言いにくいが親しくしてもらっている尊敬している男性の知人」、このあたりをエイヤっと「友達」と呼んでいいのか迷うところである。とにかく、人妻(おー人妻!)となった私は、容易に男友達と連絡を取らなくなったのである。しかし、ちょっと思い出して、おしゃべりしてみたいことはあるわけですよ。でも、わざわざ連絡取るのはだめなような気がする… 何の後ろめたさもないはずなのに、後ろめたいような、この気持ち。みんなはどうしているのかな。それで、周囲の既婚者たちにリサーチをかけてみた。すると、既婚男性は「友達なんだから会えばいいんじゃん。べつに、だんなさんに言わなくていいじゃん。心配かけちゃうし。俺は、自分の奥さんが黙って男の友達と会ってたら、イヤだけど」。なんだそりゃ。ある既婚女性は「2人きりはマズイような気がする」と言った。その「マズイ」って気持ちの正体はいったい何なんだろう。べつの既婚女性は「うーん、会いづらいけど、会っておしゃべりしたい時はありますよね。変な意味じゃなくて」。「変な意味じゃない」と理由付けしなくちゃいけないところに、言い訳がましさを感じてしまう。どれもいまいちハッキリしない。やはり男女間の友情は成立しないのか…

先週、人妻である友人が、だんなさんとは違う男性とコンサートに来ているのを夫が目撃した。それを聞いても私は全く驚かなかったし(彼女はだんなさんととても仲良しだと知っているので。そして彼女の性格も知っているので)、夫も「知らない人と一緒だなー」くらいにしか思わなかったようである。後々、彼女に聞いたら、「知り合い」とのことだった。私は軽くハッとした。あるものを観に行きたいと思う人がタイミングが合い、一緒にそれを見にいく。健全だ。何の間違いもない。それなのに、なぜ結婚したら、男友達と会うことが、妙にはばかられるのか… 何の下心もないのに… 「浮気」とか言うだけでも気色悪いのに…

昨日、ちょっと用事があって、男友達と久しぶりに会った。前日、夫に「〇〇さんと、明日、ちょっくら会ってくるね」と言うと、なぜか「けんかしないでね」と言われた。
おしゃれをして会う相手でもないので(失礼)、ヨガ帰りのスエットにTシャツ姿(ヨガマットを肩に担いで)で、渋谷へ行った。待合せ場所は、かるく約15年くらいぶりの喫茶店?である。ずいぶん明るく小綺麗になっていた。落ち着かず天井を見ると、茶色い輪じみが大きくだらしなく、2つ。30年の歴史がある店なのである。天井の輪じみとおそらく同形に口を開け、それをぼーっと眺めているうちに、ようやく店の雰囲気がしっくりきた。ヨガ終わりでお腹が空いていたので、相手が来るのも待たずにランチを注文。大盛りがあったら大盛りにしたかったが、ないようだった。これ、相手が女友達だったら、ぜったい注文するの待ってるな。そして、大盛り、注文しようとは考えないかもしれない。なんとなくだけど。あーおもしろ。運ばれてきたサラダをもりもり食べていたら、友人登場。私が先にもりもり食べていてもびっくりしない。あーらくちん。彼と顔を合わせるのは1ヶ月ぶりくらいだが、こんなふうに、ごはんを食べるのは4年ぶり?いや、もっと前かもしれない。

お母さんをやりながら、会社に所属し、日々を送っていると、そう変な人には会わなくてすむ。彼は久しぶりに会う、気は使わなくていいが、すごく変わった、しかしある意味まっとうな人であった。彼のあまりの熱量(一見クールなのだが。熱い星ほど冴え冴えと青く光る、と言いたくなるような、放出系の熱量である)に、途中、なんだか頭がボンヤリしてしまい、話半分に聞きながら、遠くに座る見知らぬ人々を目に入れたり出したりした。やや適当に話を返すと、彼は鋭い目をしながら話を引き戻したりして、ひやひやした。おしゃべりは面白かった。「あたし、もう帰ってごはん作んなきゃ」「おー、それは大事だね」。会話の途中なのに、あっさりと別れた。ごみごみした渋谷の街を駅へと向かいながら、私は、結婚したことで却ってどっかり安心して、男友達とつきあえるような気がした。もう、変な気を回したりしなくていいんだと、かえって楽になった。べつに、がしがし男友達と会いたいとかそういわけでは全然なく(3、4人しかいないし)、前よりもっとフツーに、つきあえるんじゃないだろうか。ようやく、思春期をこじらせた私と訣別したような気がした。

夜中目が覚めると、ちょうど夫が布団に入るところであった。「おかえりー」と声をかけると「あー起こしちゃった?今日どうだった?けんか、しなかった?」「けんかしなかったよ。お昼食べて、お茶して、3時間くらいおしゃべりしてきたよ。ごはんおごってくれたけど、コーヒーとケーキはおごれと言われた」「うふふ。よかったねえ」
おおらかな優しい人と結婚できて、本当に、よかったなぁ。

0 件のコメント:

コメントを投稿