2015年8月13日木曜日

夏の解読

月曜日の朝、いつもより少しばかり息子の体温が高かった。念のため、保育園では、プールは入らずに様子を見てもらった。いつも通り18時に迎えに行くと、元気な様子で「熱も上がらず、昼間、雨どいから落ちる雨を眺めて面白がっていましたよ」と、2歳児クラスの先生が教えてくれた。帰宅途中、眠ってしまった息子、目覚めると、いつものように泣いた。なんとかご機嫌を取り、夕食。それでもぐずるので、夕食を途中で切り上げ、おっぱいをやると、熱い。「ネンネーネンネー」と泣く。38.3度であった。汗だくのからだを拭いて、寝せた。

翌日、保育園を休んで、のんびり。夫も仕事が休みだったので「夏休みみたーい」と、だらだらする。37.8度。お昼まで熱が上がらなければ、病院へ行かずにゆっくりしようと夫と話した。11時近くになって、私が食べていた硬いクッキーを舐めていた息子が、げげげーっと吐いた。本人はケロッとしていたが、測ってみると、39.1度。そそくさと着の身着のまま、小児科へ連れて行く。息子の喉を診た先生は即座に「ヘルパンギーナですね」と言った。のどちんこに水泡があるのだと言う。だから固形物は嫌がるでしょう、しみるんです、だって。朝、米粉パンをうきうき食べてはいたけれど…そうかもしれない。いつもより食欲がないかもしれない。しかし、よくあんな硬いクッキー食べようとしたな… おでこと脇の下に冷却シートを貼っていた息子を見て、先生が「赤ちゃんのおでこに貼るのはオススメできません。寝ている間に剥がれて、寝返りなんかうって、口や鼻を塞いで呼吸できなくなる危険性がある。けっこうそういう事例はあります」と仰った。えっ、そうなんですか!と、思わず膝の上の息子を見る私に、「首や背中、脇の下に貼るのは効果的です」と教えてくださった。その晩、40度を超えて、ついに解熱剤を飲ませると、そこからもう熱は上がらず、今日はいちにち平熱で過ごした。

体調が良くなるにつれ、息子はおもちゃで遊び出し、おしゃべりし、絵本を読めと持ってくるようにもなった。うーん、良かったでないの。しかし、彼の機嫌の定まらなさといったら、もう、なんというか、すさまじいのである。これまでも体調を崩した後、やたら甘えるとか、ちょっとしたことで泣くとか、そういうことはあった。今回は、それがパワーアップ。気に入らないことはイラついたように怒り泣く。食事は気分が乗らなければ拒否(好きなもの=デラウェアは別)。ずーーっとそばにいてもらいたい、抱っこしてもらいたい。おっぱいはすぐに出せるようにしておいてほしい。体温計とリモコン(電池を抜いたら怒る)は手元に置いておきたい。夜中、うなされたのか、久々に激しい夜泣きもあった。大泣きするでっかくなった(10㎏ほど)息子を抱いて、家中を歩くと、妙にしんみりした気持ちになったが、そんな時間が続いて、私は今、疲労困憊している。夫は「熱でおかしくなったんじゃ…」などと見当はずれのことを言って、機嫌が乱高下する息子を心配しているが(高熱が原因で「おかしくなる」ことはないそうです)、結局のところ、体調が悪いのに、親に自分の気持ちを理解してもらえなかったら、誰でも多少なりともイライラするよね。食べたくないのに、ご飯を口に入れられたり、お茶が飲みたいのに「ねんこする?」とか聞かれて。ちがうよ!というのを全身で表すしかないものね。1才になってますます、息子は言葉で自分の気持ちを伝えようとしてくる。指をさして、あれこれ言う。けっこう理解しているつもりだが、機嫌が定まらないここ数日は、理解が非常に難しい。

■「ナナー」バナナのことかと思っていたが、それだけでなく、果物全般、あら、もしかして食べたい食べ物も「ナナ」?
■「ネンネー」眠い時に言う。うん、解ります。え?お茶も「ネンネ」??「ネンネー」と言いながら、枕元に置いたお茶を、ハイハイして飲みに行く息子。
■「チョチョチョチョチョチョー」泣きながら怒ったように言う。お腹空いた時?とにかく何かを訴えようとしている。
■「ママー」私のことですか?ママって言ったこと、一度もないけど…
■「パパー」え?父ちゃん、じゃないの??
■「タイタイ」自分のこと?と思っていたら、絵本の中の象もお猿も「タイタイ」。

などなど。

私は火曜日から仕事を休んで、明日もお休みさせていただく旨、連絡を入れた。ああ、こんな感じじゃあ、そりゃ、正社員からパートにされても当然だよ。働かせてもらえるだけでありがたや… 夫も昨日、私があまりにぐったりしているので、会社に休みをもらっていた(スミマセン…)。「…ヘルパンギーナです、ハイ、ヘルパンギーナ、ええ、あっ、ヘ、ル、パ、ン、ギーナですね」と3回も言っていたのに、「息子さんがエヴァンゲリオンで休み」と発表されていたらしい。子供を育てるって大変。こうやって、私たちは大きくしてもらったんだなぁ。息子のよだれと汗でぐっしょり濡れたTシャツを着て(ヘルパンギーナになると、よだれが多く出ることがあるらしい。じっさい、すごい量のよだれである)、だらしなく畳の上に座り、窓の外を見ると、まぁ立派な雲がもくもく。夏だなぁ。

息子と絵本を読んでいたら、私も新しく本が欲しくなって、ずっと気になっていた『桂米朝句集』(岩波書店)を注文した。蝉の声を浴びながら、水滴がついたカップのアイスコーヒーを飲み飲み、受け取った本のページをめくると、夏休みの子供に早戻り。

膝枕ちと汗ばみし残暑かな
土用波何人処女を奪われし
看護婦の肩ごしにあり雲の峰
水鉄砲孫二十分にて飽き果てし
マニキュアの爪でむく桃のみずみずし
停電で聞こえ出したり虫の声
打上げを見て帰りきて庭花火
うちの子でない子がいてる昼寝覚め
夏の夜に置きたいような女なり

夏の句はなんとも色っぽく、読んでいて、肌が湿るようだった。それにしても、「夏の夜に置きたいような女」って、どんな女なんですかね。少なくとも、髪振り乱し、疲れた顔で、のそのそ動いている今の私みたいな女とは真逆でしょうな。

ちなみに、息子は自らタオルケットにぐるぐるくるまって、布団のふちぎりぎりで眠っています。今夜はうなされないといいね。私のためにも、神様、おねがい。あ、泣いたー。今夜も長い夜になりそうです。

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