2015年5月15日金曜日

0才

いま、息子はひとり、ベビーマットレスで眠っている。食後の薬も飲まずに、おっぱいを吸っているうちに眠ってしまった息子を、そーっと寝かせてみたところ、彼の背中センサー(抱っこからお布団に下ろすと途端に起きて泣き出す)は作動しなかった。龍の子太郎よろしく、両腕を胸の前で組み、ぐいんと体勢を横にして眠り続けている。息できるのかなー大丈夫かなーと見に行ったら、すこやかな寝息を立てて、ぐっすり眠っている。今日はトータル30分しかお昼寝しなかったらしい。ごきげんで、ずっと遊んでいたらしい。砂場で遊んだりして、疲れたのかな。

18時前。お迎えに行くと、どこかさっぱりしたような表情のお母さん方。明日明後日、お仕事が休みだから。保育園もお休み。お昼寝用のシーツをマットレスからはがしながら、3人の新米お母さんはおしゃべり。「Rくん、下痢止まりました?」「徐々に、ですけど」「うちも治りかけ。土日で良くなるといいですよねー」「土日、少しはゆっくりできますかねえ」「うちのだんなさん、ゴルフ行くらしいんですよ」「おんぶして、行ってもらいたいですよね」「絵的にもいいですよね」。私たちは日に日に打ち解けて、だけど、働いているということもあって、べったりはしない(できない)。とてもいい感じだ。その間、子どもたちは子どもたちなりに交流をしているのである。0才児。じっと見つめ合う。そっと手を伸ばし、腕に触れる。触っていたバスケットをひとりが差し出し、もうひとりが受け取る。Kちゃんは2日前あたりから、私と息子に笑顔を向けるようになった。「Kちゃーん」と手を振ると、ほんとうに、何て言ったらいいんだろう、心が震えるほど、すてきな笑顔を見せてくれる。その横で、Mちゃんも手を振ってくれる。あーかわいい。ものすごく嬉しい。男の子たちは必要以上に愛想は振りまかない。でも話しかけると、目の奥でぽっと光がともるようになって、じっとこちらを見る。私のこと、もう覚えている目である。あんたたち、去年の今頃はまだ、この世にいなかったんだよ。お母さんのお腹の中にいたんだよ。信じられない。

先日、小児科で偶然、Sくんとお父さんに会った。名前が呼ばれたので、もしかしたら、と思ったら、やっぱりSくん。「あの、私、保育園で同じクラスの」と話しかけたら、まったく初対面のお父さんが、私の息子の名前を呼んだ。びっくり。Sくんと息子は向かい合い、熱く見つめ合っていた。息子はSくんの出現で、すっかりテンションが上がってしまい、Sくんに自分の靴を差し出したり、お父さんの腕をつかんだり、両手をバタバタさせて大喜びだった。「Sくんもこの小児科?ぼくは今日で2回目」「昨日、休んでたよねー保育園」そんな感じで、お話する2人。0才児でも交流するのである。当たり前のことなのかもしれないが、お母さんになるまで知らなかった。この間は、Kちゃん、Mちゃん、先生と4人で、ままごとをしているのを見てしまった。息子は女の子たち(内ひとりは先生)に囲まれ、ちいさなテーブルの前に座り、緑の折り紙で作られたお茶を出されていた… いい。ぐっとくる。0才児のままごと。

私は、息子が保育園に入園するまで、保育園のお散歩に使われるバギーがいやだった。ぴよぴよした子どもたちが、お揃いの帽子をかぶり、あのカートみたいな乗り物に乗せられて、公園の横を散歩している光景を見るたび「まだそこまで歩けないから、あれに乗せるっていうのは分かる。でも、なんかモノを運んでいるみたいで、抵抗あるなぁ」と思っていた。それが今や、毎日のように、私の息子はバギーに乗せられているのである。連絡帳によると、バギーの中で息子はSくんやRくんと向かい合い、じっと見つめ合いながら、近所の公園へ行ったり、園庭で風に吹かれたりしているそうである。私の思いは「えーその姿、見てみたい!楽しかった?」である。…人って変わるものですね。あの頃、私は何も分かっていなかった。先生は子どもたちを「モノ」のように扱っていないし、子どもたちも「ただ乗せられ」ていない。いつもきれいに拭かれ、整えられたバギー。随分失礼なことを思っていたもんだ。偏見。

息子は間もなく10ヶ月。不思議だけれど、他の子と息子を、暗い気持ちで比べることがない。通っている保育園の雰囲気によるところも大きいと思う。例えば、息子はまだハイハイしない。同じ7月生まれのKちゃんはハイハイもするし、つかまり立ちもする。おおーすごいねーと思うし、そう言うけれど、どうしてうちの子はできないんだろう…とは思わない。いや、少しは思っているかな。先生に、ハイハイのこと聞いたりするしなぁ。でも、暗い気持ちでは決してない。明るく、カラッとした気持ちだ。「とっくんしようぜ!」と息子に言ったりはするし、じっさい、土日は私のハイハイ姿をじっくり見せるけれども。後ろへ進むか、お座りのまま、えいやえいやと進む息子。もうちょいじゃない? いけるいける! 膝立ちしているRくんに「ハイハイ、おしえてあげてー」と言ったら、棚から手を外し体の向きを変えて、じっと息子を見た。来週で1才になるRくん。おしえてあげてー。一緒にハイハイしたら、楽しいよ、きっと。
(そうか、0才は1年間だけ。私の38才も、1年間だけ。そんなこと、考えたこともなかった。)

息子が眠ってから、もう3時間。お腹に夫のTシャツを巻かれて、あいかわらず龍の子太郎ポーズで眠っている。でんでん太鼓を横にそっと置いてみたい。今、薄手のタオルをかけたら、びくっとして、でも起きない。えーどうしようかなぁ。夫は電車が人身事故で止まっているらしく、帰ってこない。久しぶりにテレビなど見つつ、時間を過ごしている私です。時々、キジが鳴いているみたいな声を上げる息子。寝言。0才児の夢って、どんななんだろう。今度、お母さんにおしえてー。

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