2015年3月28日土曜日

Jazmin

アルゼンチンの友人がデザインしたスニーカーが発売されることを知ったのは、先月のことだった。夫のFacebookを流し見していた時に知ったのである。この、Facebookというやつ。ここから得るべき情報が、私にはほとんどない。これ欲しい、とか、ここ行ってみたい、と思うような情報は、紙媒体(主に新聞)から得ることが多い。私が欲する情報は、どんなに小さな記事でも、太字で見える。インターネットだと、スーッと流してしまうからかもしれない。目が悪いせいもあるかもしれない。ちかちかしちゃって。それでも、たまに、夫のFacebookを流し見る私。どういうことやねん。

一昨年の初冬、アルゼンチンからピアニストが来日した。夫と、彼のコンサートに行くと、会場の入口に赤ちゃんを連れた白人女性。日本に住んでいる方かしら、そう私たちは思った。しかし、彼女、ジャスミンはそのピアニストのパートナー、赤ちゃんは二人の息子なのだった。当時、生後9ヶ月。地球の裏側から飛行機に乗って、やってきたのである。しかも、海外旅行は2回目。彼の最初の旅はドイツで、生後2ヶ月の時だと言う。赤ちゃんもすごいが、連れてきたお母さんもすごい。あの時も、すごいと思ったけれど、8ヶ月児を持つ今、改めてその凄さが分かる。

赤ちゃんは瞳の大きな、きれいな赤ちゃんだった。にこやかで、落ち着いた大人みたいな赤ちゃん、と言うと、おかしいだろうか。げっぷしたので、顔を近づけて「げっぷでたねー」と低い声で私が言ったら、母子ともども笑った。しばらくぎこちなくお話しした後で、彼女に「茉莉花」とジャスミンの日本名(漢字表記)をそのまま書いて、差し出した(これは確か、沢木耕太郎さんのエッセイで、沢木さんが外国の方に、名前を漢字表記にしてプレゼントするというのを読んでから、ずいぶん長く真似していることである。今回は、そのまま「茉莉花」だったけれど、本当は当て字する。ジョセフィン=女世譜韻とか、ヴィセンテ=美選手とか。暴走族さながらの漢字表記センスが問われます。でも、とっても喜ばれますよ)。そして、お互いのパートナーとの馴れ初めを教え合って(これもまた、外国から来た、特に女性と仲良くなれますね。ブラジルから来たご夫妻とは、これで一気に仲良しになりました。みんな、そういう話好きなのね)、私たちは友だちになった。

後日会った時「赤ちゃんの予定はないの?」と聞かれた。「いやー二人とも子どもみたいなものだから。予定はないよ」と返すと、「そう。でも、子どもを持つのもいいものよ。おすすめ」と言われた。その時、私の腹の中には既に息子がいたわけだけれど、この時はまだ知らず。その後、妊娠の報告をメールでしたら、本当に喜んでくれて、アドバイスをいろいろくれた。「まばたきの間に、あらゆることが起こり、過ぎていくよ。子どもの成長を日々見つめることができる、今が人生で最もスペシャルな時」。

というわけで、ジャスミンのデザインしたスニーカーである。2種類発売されたというので、ええい、と、どちらも買った(1足は、夫は買ってくれた)。日本の取扱会社に問合せをしたら、原宿のスニーカーショップを紹介してくれた。そこが、とても良心的なお店で「限定品で、入ってくる数がとても少ないです。確実に手に入れたいんだったら」と、まったく別のお店のwebショップを教えてくださった。結局、そのwebショップで2足、購入したのだけれど、このショップもまた良心的で、サイズが合わず交換するにも、迅速かつ丁寧に対応してくださるのである。スニーカーショップは、どこもこんなに親切なのか。感動を覚えるくらいのレベルである。

「桜の花の写真を送って。いつか、私たちは桜の花をこの目で見れるかしら?」と、秋のアルゼンチンから、メールが届いた。丁寧に手渡しされたようなスニーカーを履いて、春の東京を歩く。私が、あなたがデザインしたスニーカーで桜の花びらを踏んだら、地球の裏側でinspirationの閃きを受け取って、と返事を出した。桜が咲いているうちに、写真を撮りに行かなくちゃ。

赤ちゃんだった彼女の息子は、先日2才になった。メールで送られてきた写真を見ると、日本の2才より、ずいぶん大人っぽい。かなりの美少年である。ほんと。まばたきの間だわ。こんなにすぐ大きくなるんだなぁ。将来、うちの息子とバンドを組まないか。うちの子は愛嬌を担当させていただきます。

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