2015年3月30日月曜日

ぼちぼちいこか

夫を仕事へ送り出してから、上田正樹と有山淳司の1975年発表のアルバム『ぼちぼちいこか』を聴いている。

市議会議員選挙が近いらしい。昨日、駅前にある百貨店前、8分咲きの桜の下で、候補者の方が演説をしていた。曇天の日曜の午後、ポマードで髪をかっちりなでつけた50代男性。マイクを手に「政治家は、言ったことではなく、やったこと」と熱弁を振るう。風が強くて、のぼり旗がめくれ上がる。それをさりげなく直しながら、演説。旗を直すあたり、演説に全力を投入していないような気がして、立ち止まった。ぽつりぽつり、数人が無表情で演説を聞いていた。地面に置いた簡易スピーカーの斜め後方に、柴犬と飼い主らしき老人がしゃがみこんでいる。老人は、季節外れのもくもくした色とりどりの毛糸の帽子をかぶって、百貨店の壁にもたれ、うなだれている。信号が青になって、百貨店から出てきた景気良さそうな人々がざざっと、こちらへ歩いてきた。女の人は皆、口紅をさしている。彼女たちは、老人や議員さんの方は見ずに「あ、桜、きれいね」などと言っている。子どもは退屈そうだったり、はしゃいで怒られていたり、寝ていたり、いろいろ。男の人は… あれ?どうだったかな。

武田百合子さんの『日日雑記』には「口紅をさすと元気が出るのだ。口論になりそうな場所へ出かけなくてはならないときは勿論、交番や警察へ出かけていくときも、税務署へ行くときも、字を書くときも、口紅さしてからだ」とある。分かる。私は子供を産んでから、化粧をほとんどしていない。たまに化粧をすると、顔のあらゆるパーツがくっきりとして、浮き上がっているみたいで落ち着かない。でも、何か物申すとき、かさかさの唇では言えない気がする。色のはっきりした口紅を、リップブラシを使って丁寧に塗ってからだ。

というわけで、日曜の午後、百貨店から勇み足気味に出てきた(入っていく)女性たちは、皆、何かしら、ひとこと言える人たちのように見えた。私は何となく、ポケットに入っていたリップクリーム(薬用だけど)を取り出し、さささと塗った。

『ぼちぼちいこか』。アルバムぜんたい、曲もいいけど、歌詞も最高。春の陽気とリズムに乗って、言いたいことがあれば、明るくハッキリ言えるような気になってくる。たいていのことは、笑って乗り越えられそうな気がしてくる。
来月から、口紅さして、働くわ、あたし。選挙にも行くわ、口紅さして。


「みんなの願いはただひとつ」

今度 給料をもらったら
僕は 背広を買いたいね

あたしは ブラウス 欲しいわ
そして 残りで 御馳走 食べましょう

※ みんなの願いは ただひとつ
   お金はやっぱり ある方がいい

今度 給料をもらったら
僕は 皮靴買いたいね

たまには 映画に 連れてって
そして 残りで すきやき 食べましょう

※ (くり返し)

やっぱり 給料を もらっても
好きな タバコも 数減らし

あたしは ぜいたく やめるわ
そして 残りを貯金に まわしましょう

※ (くり返し)

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