2015年2月16日月曜日

take a miracle

息子がおんぶで眠ってしまったので、福岡物産展で買った二◯加煎餅をかじりながら、先日録画しておいた2時間ドラマを見る。大竹しのぶさんの声色が場面場面ごとに違っていて、おそろしい。寺島しのぶさんは目の玉の色が自在に変えられるのだろうか、と思うくらい、目の、顔の印象が変わって、おそろしい。そういえば、「女優とは、男でも女でもない第三の性」と、映画の仕事をしていた時、ボスは言っていた。

目の前で俳優さんが演技をしているのを初めて見た時は、びっくりした。毎日毎日繰り返し読んで知っているはずのセリフは、人間のからだを通すと、こんなふうになるのか、と感動した。ただのコトバが、肉体を持った、人間の言葉になる。演技が上手いとか下手とか、私にはよく分からない。俳優さんが役にまるごと自分を投入する、あるいは自分を消し去ってしまう、その凄まじさ。

映画が完成して、ある女優さんとのお酒の席に呼んでいただいたことがあった。女優さんと監督とキャメラマンさんと私の4人きり。私は、その映画が自分が関わる最後の映画だと決めていたし、直接お話しできるチャンスもそうないので、その女優さんが演じたシーンについての感想を本人に伝えた。かなりの勇気が要った。すると、彼女は「ありがとう。あのシーンについてはうまくできたか心配だったの」。そして、普段なかなか感想を言ってもらえないので嬉しい、と喜んでくださった。お店を出てタクシーに乗り際「ねえ、握手して。私、あなたと握手したいわ」と言ってくださった。

今、おんぶしていた息子をマットに横にして、Laura Nyro "Gonna take a miracle" を流し、私は畳に腹ばいになって、これを書いている。ドラマを見終える前に、息子が起きて泣き出してしまったのである。開け放した窓、息子はごきげん、転がって新聞で遊んでいる。映画の仕事をしていたなんて、まるで夢のよう。当時「歩く諸悪の根源」と言われた私が、母親とはね。「失った夢だけが美しく見えるのはなぜかしら」。時どき、白昼夢を見るように、映画に関わっていられた日日を思い出しています。

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