2015年2月22日日曜日

若気の至り

大学を卒業したあたりから、映画の仕事に入る29才くらいまで、やたらと「いたずら」をしていた。1999年に原美術館でソフィ・カルの『限局性激痛』を見て、さらに拍車がかかったように思う。何というか、勇気を得たというか。

ちょうどレコード店で働き始めた頃、同じ赤と黄色、ということで、某ファストフード店のカードをレジで渡してみたり(クリスマスにひとりで来たお客さん限定)。通過する山手線に向かって、宮下公園からシャボン玉をふいたり(車窓からシャボン玉が見えたら素敵かなと思って)。歩きタバコの取り締まりが始まった頃は、取り締まりの人の前で、胸ポケットからタバコを取り出すふりをし、タバコの空き箱に仕込んだシャボン玉を「歩きシャボン」してやったり(シャボン玉多用傾向)。携帯電話の代わりにデコレーションをほどこした糸電話を携帯して配ったり(ミュージシャンの人に耳に悪いなぁ、と言われやめた)。会ったことのない人(本を書いている人)に、自分の影の写真を送り、私を探してもらったり(3ヶ月かけて探してくださった。見つかった時、とても嬉しかった)。

いちばん力を入れたのは、名前と3つ好きなもの/ことを言ってもらい録音するもの。子どもの頃、友達を嫌いになりそうになった時、その子が手作りの草履袋を持っていて、それを見たら100%嫌いになれなくなったことを思い出したのがきっかけ。みんな何かしら好きなもの、大事にしているものがあって、それを知ると憎らしく思えなくなるから不思議。外国の方には、kind of peace making for me、と説明していた。首からテレコを下げて、街を歩いた。ちょっと気になる人がいると、声をかけて、やってもらう。仕事中もユニフォームのエプロンの下にテレコを隠して、こっそりやっていた(信じられない。よくクビにならなかったなぁ)。日本人、スウェーデン人、アメリカ人、フランス人、キューバ人、イタリア人、どこの国かよくわからない人。10代から90代。知っている人知らない人。好きな人ほんとは苦手な人。同僚、学生、バーテンダー、ミュージシャン、映画監督、カメラマン、編集者、主婦、旅行者、無職、などなど。300人くらい録音した。120分のカセットテープに。

こうして並べて書いてみると、つまらないなぁ。でも、本当に楽しかったし、何の迷いもなく、思い浮かんだら即実行していた。怖いもの知らずだったのだ。勘を働かせ、アンテナを張り巡らして。好きな男の子ができると、対象が彼に向く。デートに私がタライを背負って現れたり、パイナップルを片手に持って(電車にも乗る)着飾った私がいきなり家に来たり、プレゼントを宝探しみたいに遠くに隠しに行ったり。今、思い返してみると、ただ、自分の思いつきを、お気に入りの男の子にぶつけてみたかっただけなのかも。そりゃあ、35才まで片思い専門だったわけだわ。24才の厄年の男の子に「おまえが俺の厄だ」と言われたことは忘れられない。いやー冴えたこというなあ、この人、と、ますます力が入る私。間違ってます。

いい時代だった。今、実行したら、ストーカーとか?プライバシーがどうとか?ネットで公開がどうとか?メールアドレス交換とか?SNSやってるかとか?そうなっちゃうのかな。呆れられていたかもしれないが、怒られたり、危険な目に遭ったりということはなかった。若気の至り。まさに。でも、やっておいてよかった。本当は今でもやりたい気持ちはある。いつかまた、やろうかしら。それまで、精神のアキレス腱をしっかり伸ばしておきます。


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