2015年1月7日水曜日

いなかの子ども

実家で暮らしていると、すっかり油断した顔つきになる。家事もせずにもりもり食べていたら、あっという間に丸くなった顔のせいだけではない。鋭さのかけらもない、この表情。頭の回転も鈍いような気がする。年末年始の里帰り、ちょっと長すぎたような気もしている12日目の実家での暮らし。

東京へ出たのは18歳。高校を卒業してすぐ。地元の大学へ進学することが母の望みだったけれど、にこにこと空返事だけして、さっさと奨学制度のある飲食店への就職を決め、東京の大学へ進学した。どうしてもいなかから出ていかなければという切迫感があった。私が憧れるものは、ここでは手に入らない。映画とか、音楽とか、お洋服とか、場所とか、まあいろいろ。とにかく、ここから出なければ。
飲食店の新入社員研修は1週間ほどだったか。代々木のオリンピックセンターに缶詰めにされ、朝5時からうさぎ跳びをさせられても、社歌を大声で歌わされても、ちっとも苦しくなかった。今、考えると、すごい。明治神宮をお揃いのジャージでマラソンさせられたり…(この研修中に地下鉄サリン事件が起きた。)
週に2日ある休みの日には、行きたい場所、欲しいもののリストを持って、街に出た。とは言っても、昼は大学もあるし、たまに会社の会議なんかにも参加しなくてはいけなくて、旅行にはとても行けなかった。2年生の終わりに店を異動になり、悩んだ挙句、会社を辞めた。奨学金をとり(先日、完済した!)、ずーっと働いてきたので、長い休みをとるなんて考えたこともなかった。

そんなわけで、昨年、里帰り出産で、20年ぶりに母や妹と生活することになった。初めのうち、これがなかなかハードだった。「母は(妹は)こんなひとだったのか」と驚いたり、生活の仕方が違ったりして、私も母もクタクタになったりした。それでも、しばらくすると、楽しくなって、自宅へ帰る時は少しさみしいほどだった。今回、2か月半ぶりの実家での暮らし。母や妹、甥っ子と、こたつでおしゃべりしながら、私はお母さんでも妻でもない、ただの娘になって、ぼさぼさした顔で笑っている。息子は今、いびきをかきながら、こたつで1時間半も眠っている。ああ、息子よ、お前もか。こたつの虜になってしまったのか。お母さんも君も、いなかの子ども。おんなじだね。



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