2015年1月11日日曜日

今夜は妹が息子をお風呂に入れてくれた。ミルクを飲ませて寝せるところまでやってくれる言うので、久しぶりにゆっくりお風呂に入ることにした。髪を洗って耳をすますと、息子の泣き声が……空耳で聞こえてくる。いや、空耳ではない。けものの赤ちゃんのような泣き声が、冷たい廊下の空気を伝って、風呂場へと流れ込んできた。泣いてるなぁ。しかも激しく。私の人生、これほどまで、誰かに求められたことはなかったことよ。胃袋の下がじんと熱くなるような、からだの下方へどしんと重い塊が下りてくるような、そんな感覚。シャワーを止めて、息子の泣き声をじっくりと聞いた。

昨年9月。息子は生後2ヵ月。まだ里帰り中だった。息子を母と妹に預けて、ひとり東京へライヴを観に行った。母は「嫌味みたいに聞こえるかもしれないけれど、よく置いていけるね」と言った。嫌味だよね、と思っていたら、「それほどまでに私たちを信用していただいて、ありがとうございます」と、妹が続けた。あの時は、私がいなくても、それほど彼は困らなかった。母や妹や甥っ子と楽しく1日を過ごし、おりこうにしていたらしい。深夜0時を回って家に着いた時、息子はぐっすり眠っていた。困ったのは私の方で、まる1日、おっぱいが張って張って、とてもつらかったのである。

髪を乾かして、息子の元へ向かうと、妹はくったりとしていた。息子は私の顔を見ると、はっとして泣き止んだ。「もうだめよ。何やったって。ミルクだって飲まないし。いつもお姉ちゃんたちが寝ている部屋を見て、周りを見て、私を見て、いないって泣くんだよ。あー助かった」
息子はじっとりと汗をかいていて、残ったミルクをすいすい飲み干した。そして、興奮したようにおしゃべりを始めた。「お母さんがいない間、こうだったよ」と言うかのように、私を見たり、天井を見たりして、ひたすらお話。ウー、ウッ、ウッ、ウー、ウー、エー、アー。おっぱいを吸っても、時どき吸うのを中断して話す。そしてまた、おっぱいにかぶりつく。その繰り返し。そのうち、疲れて寝てしまった。

珍しく息子と一緒には眠らずに、妹が起きている部屋へ行ってみた。固焼きせんべいをかじりながら、「あーまいった。もう夜はお母さんしかだめなんだよ。お姉ちゃんの姿見ただけで泣き止むんだもんね。あと、あの人、完全にいろいろちゃんと分かってるよ。もう、ごまかしきかないよ。あーまいったまいった」と妹。他人事みたいだけれど、すごい。「子育てはどんどん楽になるよ。でも楽になればなるほど、さみしいんだよね」。そうかー、と私もせんべいをかじりながら、息子が甥っ子くらい(6才)になった姿を想像してみる。……全く想像できない。どんな男の子になるのかね。

ところで、今日は母方の祖父の命日だった。本当だったら、自宅へ戻って、夫と息子とアパートの前で行われるどんど焼きに行くはずだった。でも、息子の風邪が治らなくて、3連休の混雑した新幹線で帰るのを避けることにしたために、祖父の13回忌に立ち合うことができたのである。妹と祖父が亡くなった日のことを話しながら、せんべいをかじる。私も妹も祖父のことが大好きだった。息子よ、ありがとう。おかげで、じいちゃんとばあちゃんのお墓参りができたよ。「じいちゃんが死んだ日も、こんな穏やかな夜だったんだよね」と妹。かすかに息子の泣き声が聞こえる。襖を開けて、空耳だと確認する。

なかなかいい夜です。

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