2014年12月7日日曜日

梨からの話

このところ、洋梨を好んで食べている。あのかたち、香り、味。どれをとっても好きだ。今までそうでもなかったのに。マーケットで目にしたら買わずにいられない。皮をむき、4つとか5つに切り分けたら、芯の周りの果肉をかじる。やわらかい酸味と甘さが舌の上を転がり、ふわっと花のような香り。豊かな気分になる。

今日の毎日新聞日曜版『楊逸の味わう』は、梨についてだった。
中国では、梨は発音が離別の「離」と同じという理由で、デリケートな存在なのだそうだ。楊逸さんのお母さまが病に伏している時、のどが渇いたお母さまに妹さんが梨を勧めてしまう。「離」と口にしたことで、タブーを冒してしまったことに気づく妹さん。お母さまは笑顔で「この世にたとえ梨という果物がなくても、別れがなくなるわけじゃない。梨を食べたい」と言ったそうである。その3ヶ月後にお母さまを亡くし、しばらく何となく梨を避けていたが、久しぶりに梨を買って、ひとくちかじったら、お母さまの言葉がよみがえって目頭が熱くなったという。

中国で梨がそんな存在だったとは知らなかった。でもたしかに梨って、ちょっととくべつな果物だ。気がつくと、旬はあっという間に過ぎている気がする。皮の色もひかえめ。りんごほどハッピーな感じもしない。いま私がはまっている洋梨だって「ようなし(用無し)」と同じ音。あくまでも個人的な意見だけど。

ただの果物。そう思ってしまえば、そこまで。もの言わぬ梨にあれこれ思いを馳せて、日曜の午前は過ぎていく。
そういえば、映画の仕事をしていた頃、毎冬、すばらしいラ・フランスを送ってくださったTさんは今、どうしているんだろう。お宅にお邪魔した時には、桃色の花がぱあっと咲く茉莉花茶を丁寧に淹れてくださった。
そうそう、茉莉花といえば、今日は友人ジャスミンのお誕生日。さ、洋梨をむいて、彼女の誕生日を祝おう。Felitz cumpleaños, Jazmin!

0 件のコメント:

コメントを投稿